研究課題

神経回路構築を制御する細胞内シグナルダイナミクス

上口 裕之

脳科学総合研究センター(BSI)
神経成長機構研究チーム
チームリーダー

〒351-0198 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 脳科学総合研究センター
TEL:048-467-6137 MAIL:kamiguchi@brain.riken.jp

神経細胞から伸長した軸索は、正確な道筋を辿って標的とシナプスを形成し、複雑かつ精巧な神経回路を構築します。軸索の先端部は成長円錐と呼ばれ、細胞外環境に提示されたガイダンス因子を感受して伸長方向を転換します。この成長円錐の旋回は、細胞内の非対称的な化学的シグナルおよびその下流で制御される膜・細胞骨格ダイナミクスによって駆動されます(Nat Rev Neurosci 2011)。成長円錐の旋回方向(誘引と反発)の切り替えはCa2+シグナルの供給源に依存し、細胞外からのCa2+流入と小胞体からのCa2+放出は、それぞれ反発と誘引を媒介します。この1細胞研究プロジェクトでは、単一神経細胞を標的とした軸索ガイダンスアッセイ(Fig. 1)およびプロテオミクス解析などの技術を用いて、小胞体からのCa2+放出を特異的に感受するミオシンVa-Ca2+チャンネル複合体を同定し、Ca2+依存的なミオシンVaのチャンネルからの解離が膜小胞輸送と誘引性ガイダンスを駆動することを見出しました(Fig. 2)。以上、成長円錐がCa2+供給源を識別して旋回方向を決定する分子メカニズムを発見しました(Cell Rep 2016)。現在は、脂質メディエーターなどの細胞内シグナルが成長円錐を極性化して軸索ガイダンスを制御する仕組みを研究しており、神経回路構築/修復の基本原理の解明を目指しています。

単一神経細胞を用いた軸索ガイダンス研究:光照射(赤点)によるミオシンVaの小胞体Ca2+チャンネルからの解離は、成長円錐を誘引方向に旋回させる。

単一神経細胞を用いた軸索ガイダンス研究:光照射(赤点)によるミオシンVaの小胞体Ca2+チャンネルからの解離は、成長円錐を誘引方向に旋回させる。

成長円錐の旋回を駆動する非対称性シグナル:軸索ガイダンス過程での細胞内膜輸送を制御するCa2+エフェクター。

成長円錐の旋回を駆動する非対称性シグナル:軸索ガイダンス過程での細胞内膜輸送を制御するCa2+エフェクター。

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